秋の夕暮れ。 お人好しな主人公――《日比野 彰》は、彰以外の人間には視ることもふれることもできない少女と出会う。 空虚な瞳をした少女は―― 「わたしは、死神」 ――と、そう名乗った。 自称死神の少女を隣に、とりあえず生活をはじめる彰。 騒がしい日々の中、誰にも視えない少女はふと疑問を抱く。 「生きるって、なに？」 その命題とも言える問いに、彰は答えを返せない。 だが、彰は少女の純粋な瞳を見つめ―― 「じゃあ、一緒に探そうか」 ――と、少女の手を取り、名前もない少女に《夕》という名を付ける。 だからこれは、無垢な死神とお節介な少年の『生きるということ』を探すお話。

――大切なもの、いくつ持ってる？ 日に十数本しか電車が来ないような田舎町で暮らす主人公は、海外を股にかけて仕事をするエキセントリックな父親に時折振り回されつつも悠々自適な一人暮らしをしていた。 そんな折、突然かかってきた父親からの電話で『義妹』ができたことを知る。しかも、その振ってわいたようにできた義妹は。あと5分ほどで最寄り駅に着くらしい。思考もまとまらないまま、焦りながら迎えに行った主人公は、そこで一人の少女と出会う。 「文月澄空です。よろしくお願いします」 広がる空の片隅で、とある兄妹の物語がはじまる――